ユーフォニアムを洗はう! 〜 洗浄編

 

 この項も、まづは心得から!

・樂器は澤山の部品から出來てゐる。大掃除の時はそれを全部外すことになる。どれがどの部分のものだったのかが分からなくなってしまはないやう、整頓しながら掃除しよう。

・分解した樂器は、皆さんが服を脱いで裸になるのと同じく、デリケートだ。水に濡れると滑りやすくもなる。ぶつけたり、落としたり、倒したり、こすったり、踏んづけたりしないやう、細心の注意を持って挑まう。

 

3.浸け置き
・抜き差し管の浸け置き

 バケツなど、抜き差し管全體が浸かるやうな容器に、水かお湯を入れ、中性洗剤を溶いて、各管を浸ける。各管をガチャガチャぶつけないやうに氣をつけること。

 お湯の場合は、30度くらゐがいい。40度を超えたお湯は、真鍮の材質を變化させることもあるので、避ける(50度から急激に材質が變化してしまふのだ!)。

 洗剤は、中性洗剤にすること。今回は、「チャーミークリーン」だった。臭ひの好みもあるので、各自で試して欲しい。樂器専用のブラスソープというのも、ヤマハから出てゐる。

・樂器本體の浸け置き

 もし自宅でやるのであれば、風呂桶を利用すると効果的だ。使へない場合は、次の項へ。

 抜き差し管と同じく、お湯を入れる場合は、温度に氣をつけること。また、垢の殘りや、毛が混入してしまふとやっかいなので、風呂桶の中を綺麗にしてから行ふこと。くれぐれも殘り湯ではやらないやうに。

 

4.樂器の洗浄
・ベル内の洗浄

 風呂桶が使へない場合、まづはベルに繋がってゐる管に、水道のホースを突っ込み、放水する。樂器が倒れないやうにしっかり持つこと。

 大きい異物が中に入ってゐた場合、ベルの方から水を入れると詰まってしまふことがあるので、それを避けるためにも、管の方から入れた方が良い。

 ベルの中7分目くらゐまで水が上ってきたら、一旦次の項目のやうに水を出す。その後、ベルの方から洗剤を溶いた水を入れ、次の項目とは逆の方向に回して、洗剤を行き渡らせるとよい。

・本體の水を放出する

 管内の水がベルから流れ出るやう、本體を矢印の方向に何度か回して、水を抜く。

 水が入ってゐるので、普段よりもずっと重い。水や洗剤で手を滑らせないやうに、十分に注意すること。回す際に、壁などにぶつけないこと。

・支管と本體を洗浄する

 支管内は、管内專用のブラシに洗剤を付け、洗浄する。ヤマハの「フレキシブルクリーナー」が便利。あまり強く突っ込んで、管内部を傷つけないやうに注意する。

 本體の外側は、まづ水で細かいゴミを流してから、柔らかいスポンジか布に洗剤を付けて、マッサージをするやうに優しく洗浄する。ゴミを流さないままで擦ると、傷が付いてしまふことがある

 抜き差し管やピストンがなくなった本體は、案外變形しやすい。倒したりぶつけたりしないやうに注意するのは勿論だが、置く時にも、丁寧に扱ふこと。

・抜き差し管を洗浄する

 支管と同様に、洗浄。また外側のグリスの付いた部分も、よく洗い落とす。

 抜き差しの可動部分は、肉厚がとても薄いので、落としたりぶつけたりしないやうに氣をつけること。また、強く握りすぎると、U字が變形してしまふので、持つ位置や加減に氣をつけること。

・ピストンを洗浄する

 一番神經を使ふところだ。トンネル部分にはブラシを使ひ、表面は柔らかい布で經く拭く。

 とにかく、絶對に落としたりぶつけたりしないこと

 ピストンは、最もデリケートな部分なので、洗浄後は、直ぐに水かお湯で濯ぎ、毛羽立たない布で水氣を取り、安全な場所に置いておくこと。

 

5.濯ぎと乾燥
・本體、各抜き差し管を濯ぐ

 とにかく、水でよく濯ぐこと。洗剤や、落とした汚れが流れ切らないと、後でピストンや抜き差し管の動きが鈍くなったり、時には全く動かなくなってしまふことがある。

 本體の支管へは、ホースをくっつけて、よく濯ぐ。

・本體、各抜き差し管を乾かす

 濯ぎ後は、柔らかい布に水分を吸い込ませ、直射日光が當たらず、風通しが良く涼しい場所(但し、ホコリがあまり立たないところ)でしばらく乾かす。小一時間ぐらゐか。

 管に指を突っ込んで、湿ってゐなければ、組み立てに入る。

 

組み立て編に續く

 


 



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Hidekazu Okayama