「リンカンシャーの花束」の Baritone パート その2

 

 前項を書き上げた後、コーン社のアメリカ式バリトンホーンが入手できたので、早速リハーサルで使用した。シリアルナンバーを調べたところ、なんとワタシと同い年の樂器であった。

CONN Constellation (1968)
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 豫感的中! まさにこの音に違ひないといふ確信があった。ユーフォニアムよりも發音が明瞭で、イギリス式バリトンよりも太めの音がする。情感がこもると、獨特の、少しとぼけたような音色になる。いや、まさにグレインジャーの音樂のキャラクターとして、申し分ないと思はれてならなかった。流石に入手して二日目であったので、コントロールが利かなかったものの、「これはいい!」と指揮者からも言はれた次第であった。

參考畫像
イギリス式バリトン
ユーフォニアム

 

 前項で懸念してゐた、樂章の各部については、一氣に解決された思ひだった。幸い、本番時の音源が入手出來たので、參考までにご紹介する。ワタシの腕が、まだまだで恥づかしいのだが・・・(ミスもそのまま)

・第1樂章のホルンとのユニゾン、第2樂章冒頭からの、ホルンとユニゾンのメロディーは、ホルンの音色に違和感なく溶け込み、響きにより深い奥行きを與へ、なほかつ前向きのベルが、發音の明瞭化を助けてゐる。

・第4樂章のソロは、木管樂器のユーモラスでちょこまかした動きの上に、のどかで、かつ明るく、陽氣でとぼけた動きが實現できる。MP3 參考音源(ARTUR Symphonic Winds TOKYO / Cond. 菅原徳太郎 2003.5.17 中野ZERO大ホールにて)

・第5樂章のソロに入る直前、金管のユーモラスな動きから突如シリアスな和聲で一旦時が止まる。そこへ、發音明瞭なバリトンホーンが威勢の良い酔っぱらった親父の如く登場し、かつ後半はとぼけた感じでしっぽを巻いていく。この雰圍氣が抜群に引き立つ。MP3 參考音源(同上)

 


平成15年10月24日

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Hidekazu Okayama