1960年代アメリカ海兵隊のユーフォニアムの名手である、アーサー・レーマン氏(知らない人は「徒然草」>演奏者の「顏」を參照)が特注したマウスピースの復刻モデル(Dave Houser 製)を入手した。氏の「The Art of Euphonium Playing Volume 2」に、その設計圖が載ってゐる。とにかく深いVカップ、肉が薄く輕い、そしてシャンクが短いところに特徴がある。
入手出來たのは、「S」「M」の2種類。いづれも、カップ内径27.3mm、リム外径41.1mm。カップの深さについては、下の畫像を參照されたし。紫の線がシルキー51D、赤い線が「S」で、黄色い線が「M」のカップを表す。
彼自身が書き留めた、このマウスピースの有利な點、不利な點のリストがある。有利な點からは、彼がこのマウスピースを製作した目論見を知ることが出來、不利な點からは、安易にこのマウスピースを使用した際に陷りやすい點を示してゐる。
有利な點 | 不利な點 |
1. 音程が改善される | 1. 大量の息が必要 |
2. 大きな音が出る | 2. よどんだ音に氣を遣はなければならない |
3. 滑らかに演奏出來る | 3. 高音のアタリが難しい |
4. 低音がアタリやすい | 4. 唇の疲れが激しくなりやすい |
5. 他の樂器との調和に長ける | 5. 相當の忍耐を要する |
6. 音程が下がり氣味 |
氏の注意書きによれば、「ロクに練習もしとらん奴は、使ふべからず。まぁ、1日4時間は吹いてゐる奴でないと、薦められない」といふやうなことが書いてあるのが面白い。試奏してみたが、筆者も「ロクに練習もしとらん奴」の範疇に入ることが判明(笑)。ただ、サクソルンバス(フレンチ・テューバ)の演奏には、良ささうに感じた。
なほ、氏はB&Hのユーフォニアムでこのマウスピースを使用する必要があったため、シャンクは、中細シャンクである。
1. 殘念ながらDave Houserのカタログには掲載されてゐない。「中古品」なら、下記サイトで購入出來るかも知れない。
Dillon Music
http://www.dillonmusic.com/
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Hidekazu Okayama