15/3/20 「アメリカ軍、イラクへ攻撃開始」


 アメリカ軍がイラクへの軍事攻撃を開始しました。

 ワタシのところへ、「反戰」の署名を求めるメールがいくつも來ました。しかし、そこには、どうして開戰せざるを得なかったのか、そして、どうして戰ひを回避しなくてはならないのか(裏を返すと、どうして開戰しなければならなかったのか)、といふ切實な問ひは感じられませんでした。ワタシもよく判らないところであります。しかしそれらのメール、そしてマスコミの多くの報道からは、「わからない」といふ問ひすらありませんでした。今日、ワタシは呑氣にも、ユーフォニアムのリサイタルに駆けつけました。その道すがら、市民運動と稱する團體の「反戰」デモの開始を見受けました。何のことはない、みんな「よ〜し、やるぞ」とばかりに笑みをたたへてゐました。彼らを批判したいとは思ひません。しかし、「反戰」とはその程度の意味會ひであり、またこの有事に對して、何らかの形で戰地に赴く、我が國の自衛官の御命を心配するやうな風がまるで感じられなかったのが、實に悲しいことでありました。

 今日のリサイタルは、自衛官によるものでありました。ワタシは、所謂右翼でも、好戰派でもないと、自分では思ふのですが、この自衛官の類ひ希なる素晴らしい演奏を、いづれは戰地に赴くであらう同胞に聽いて頂きたかった、と思ふだけに、このワタシも演奏してゐるユーフォニアムの、世の人に知ろしめる機會を、もっと増やすことが出來たら、それは、自分の爲であり、その自分の據って立つところの「御國」への、ささやかなお力になれるのではないかと思った次第なのです。無論、それで戰ひが回避出來るといふやうな、其處まで呑氣な氣持ちはないのです。しかし、今日、あの會場にゐた我々多くの同胞が感じた幸せを、有事を問はず、もっと押し廣める機會を捻出したいと思ひました。ユーフォニアムやテューバの、腹底に染み入るあの音樂を奏でる機會を、自ら作って行きたいと思ったのでした。そこで音樂そのものを樂しんで頂けるやう、ワタシ達、演奏家は努めなければならないと、思はされました。